成分解説

アデノシンとミノキシジルの関係とは

投稿日:2019年5月6日 更新日:

最近「アデノシン」という育毛成分が登場しました。

このアデノシンは育毛成分としては、医薬部外品という位置づけに置かれています。

医薬部外品は、化粧品と医薬成分との中間のような存在です。

つまり、アデノシンの育毛効果について、医学的にそこまで強い根拠がまだない、という状態です。

しかし、このアデノシンは最強の育毛成分であるミノキシジルと関連が深いことから、非常に注目を集めている成分です。

この「アデノシン」と「ミノキシジル」の関係を見ていきましょう。

アデノシンを有する「アデノゲン」シリーズの登場

アデノシンを世に送り出したのは、日本の化粧品会社である「資生堂」です。

資生堂が発見した成分で、現在「アデノゲン(ADENOGEN)」というブランドで商品が発売されています。

商品のラインナップは、育毛シャンプー、育毛トニック、男性用育毛剤、女性用育毛剤、となっており、育毛商品としてはフルラインナップとなっています。

医薬部外品であることから、一般の人がインターネット上でも購入ができる商品のため、最近目につくようになっています。

資生堂の研究グループの発表によると、このアデノシンの効果を調査をした結果、髪の毛を増やすというよりは髪の毛を太くする、というところに効果があると結論付けています。

つまり、直接発毛したり髪の毛を増やすような効果は出ない、ということです。

また、この髪の毛が太くなるかどうか、という点を調査する際に比較した対象は、「ニコチン酸アミド」と呼ばれる成分です。

あまり耳にしない成分ですが、一応この成分が含まれた育毛剤は医薬部外品として認可を受けていたため、比較対象としたようです。

しかし、ミノキシジルやフィナステリドなど、医薬成分に分類される育毛成分として名をはせているものと比較すると、少しインパクトに欠けます。

「医薬部外品」ということで、普通のシャンプーよりも効果はあるかもしれませんが、それでもそれ以上に優れた効果を発揮するプロペシアなどの「処方薬」があるので、少し見劣りするところもあります。

ところが、そうは言いつつもこの「アデノシン」は非常に注目がされています。

なぜなら、その効果の強さではなく、成分自体やその働きが非常に目を引くものだからです。

アデノシンは「ミノキシジル」の発毛の素か?

アデノシンが注目されているのは、あの最強の育毛成分「ミノキシジル」が育毛効果を発揮するために作り出す成分の一つがこの「アデノシン」だからです。

ミノキシジルはおそらく最も信頼できる発毛効果のある成分ですが、発毛までのメカニズムを見ていくと、この「アデノシン」が登場します。

ミノキシジルは頭皮に塗布したり口から服用すると、その効果を発揮し始めます。

その際に毛根周辺で、「アデノシン」という成分を作り出しているらようなのです。

このアデノシンは、毛根周辺にある「成長因子」と呼ばれる因子に作用し、髪の毛を増やすことを後押ししています。

それ以外のミノキシジルの働きや育毛作用は、今現在もまだ明らかにされていないところが多いのですが、ミノキシジルの場合、上記のような作用があり、最終的に髪の毛が多く生えてくるのです。

ミノキシジルの育毛効果を発揮しているのは、この「アデノシン」ではないか、とまで言われるぐらい、ミノキシジルの効果の中でも重要な働きをしているはずなのです。

このアデノゲンが開発された背景として、乱暴に言うと「ミノキシジルを塗布したあと、アデノシンが生成されて、それが育毛効果を発揮しているのだから、だったらアデノシンをそのまま使ったらよくない?」という意図もあるでしょう。

いずれにしても、最強のミノキシジルが作用する際に登場するのがこの「アデノシン」で、そのアデノシンが直接利用できるということは、なかなか画期的なことといえます。

やはりミノキシジルは育毛においては特殊なのか

上記のメカニズムだけを考えると、アデノシンというのはかなり衝撃的な成分であることは間違いありません。

ところが、最終的には医師が処方するような処方薬にはならず、またミノキシジルを含むリアップと同じ、第1類医薬品(薬局で買えるけど薬剤師の対面販売が必要な、処方薬の次に効果が信頼できるカテゴリー)にもなりませんでした。

研究報告でも比較対象がミノキシジルではなく、「ニコチン酸アミド」と設定した点からも、報告に先立つ研究で思いのほか、育毛効果を発揮しなかったと推察されます。

実際の報告でも、毛髪の数が増えた、という報告はありませんでした。

実はミノキシジルは1990年代から日本で登場しており、世界ではもっと前からその育毛効果が認知されており、このミノキシジルを参考にすれば、育毛に関する研究の幅はかなり広がったと思われます。

実際に、ミノキシジルと同じような働きをするものが探されて、育毛剤としての効果が調査されたようです。

しかし、同じような働きをしているにも関わらず、やはり育毛効果はミノキシジルにしか見られない、ということが多かったようです。

アデノシンも同じように、ミノキシジルの作用の中で登場する重要な成分のため、期待値こそ高かったのですが、最終的にミノキシジルを超えることはありませんでした。

昔から言われているのですが、やはり「ミノキシジル」は少し特殊なのです。

育毛効果がここまで高い成分はなかなか存在せず、またミノキシジルの作用もある程度分かっているのですが、なぜミノキシジルだけがここまで発毛効果を発揮するのかはまだ明らかにされています。

おそらくアデノシン以外にもほかの重要な成分があるか、あるいは様々な成分の複合などが関与していると想定されます。

ミノキシジルの育毛の素ではないか、ということでアデノシンが注目を浴びましたが、現在のところはよりミノキシジルの育毛効果の凄さを際立たせるような結果となっています。

しかし、このような研究の繰り返しが、いつかミノキシジルの本当の発毛効果のメカニズムを突き止めることになるでしょう。

ミノキシジルのメカニズム追求という観点では、第2のアデノシンの登場に期待したいところです。

また、アデノシン自体も、そうはいっても毛を太くする効果などは、他の医薬部外品よりも優れており、また効果がなだらかな点もよいポイントなので、ほどほどで安心して利用できる育毛剤を探しているのであれば、アデノシンはおすすめの育毛剤といえるでしょう。

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